エイプリルフールにやらかしたこと ~Mr.サマータイムとメディアリテラシー

今日は、4月1日。毎年この日が来るたびに、僕は報道アナウンサー時代にやらかしたトンでもない「エイプリルフール事件」を思い出して、冷や汗がよみがえる。

…と、いきなり《theLetter》の初回をそんな懺悔から入るのもツラいので、その前にちょっと東京新聞の話から。
下村健一 2026.04.01
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ご存じの通り、東京新聞は毎年エイプリルフールの朝、「こちら特報部」面で見開き2頁を割いて、デカデカと嘘記事の大作を掲載している。双子のおばあちゃん“きんさん・ぎんさん”が大人気だった頃には、「実は三つ子で、もう一人は銅さん」というニセのスクープを放った。今朝は、小国「ホンマナンカ」でスパイたちの労働組合が結成され幹部が単独インタビューに応じた、という話がメインだった。

そんな中で忘れ難いのが、2008年のエイプリルフールの「オバマ米国大統領候補(当時)の弟バラクーダ・オバマは、東京で働く商社マン!」という“スクープ”記事。その弟に扮して、私の親しい友人記者がインテリ黒人風にメイクしたマコトしやかな写真が、デカデカと紙面を飾った。記事は一目でジョークと分かる内容だったのだが……その弟役を演じた記者から聴いた掲載後のリアクションは、かなり衝撃的だった。

なんと、本気にした読者からの反応に混じって、報道関係者からの問い合わせもチラホラあったという。某大手紙の知人記者からは、「取材して来いと上司に命じられたが、どうしても手がかりを見つけられない。恥を忍んで、連絡方法を教えてほしい」と頼みこまれたそうだ。

―――これはもう、トホホを超えてゾゾッとする話だ。ちょっと考えればすぐ冗談だとわかる文面なのに、その「ちょっと考える」をしないで瞬時に信じてしまう。エッと思う初耳情報に接した時に必ずつぶやくべき4つのオマジナイ(詳しくは次回以降で)の内、一番重要なのが《まだわからないよね》という一言だが、その基本ができていない人がプロの報道人にもいるということだ。笑えない。

と言いつつ、もっと笑えない失敗が、僕の「エイプリルフール事件」だ。TBS入社6年目の初日=1990年4月1日早朝のこと。メインキャスターを務めていたニュース番組『おはようニュース&スポーツ』オープニングのフリートークの中で、僕は穏やかに微笑みながら、真顔でこう言った。

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